2015年08月15日

脳髄地獄の物語『ドグラ・マグラ』、松下一郎版『悪魔くん』、高幡不動「茶房たんたん」

「常識以上の常識、科学以上の科学、時空を超えて彷徨する夢中飛行の不安と恐怖を描いた脳髄地獄の物語」 夢野久作著『ドグラ・マグラ』文庫版の解説文より
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JETLINK最寄のJR市川駅南口にあった古書店「草古堂」。ここで好みの古本を何冊か購入後、近くの喫茶店「麻生珈琲」でお茶をするのが学生時代からの黄金コースでした。現在も尊敬してやまないプライドの怪人こと百瀬博教さんも懇意にされていたお店です。そんな草古堂も時代の波に呑まれて数年前に閉店。百瀬さんも他界されて一時代の終わりを感じさせられました。ここで最後に購入した一冊が、探偵小説の枠を無視した空前絶後の奇想小説こと、夢野久作著『ドグラ・マグラ』文庫版の初版本でした。
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第三次オカルトブーム?世間の妖怪熱に影響された訳ではありませんが、数年ぶりに松下一郎版の(山田真吾ではない)『悪魔くん』が読みたくなり、amazonにてほぼ新品の復刻本を購入。幻の奇書と称されるに相応しい貸本時代のオリジナル版『悪魔くん』水木しげる著(1963年)は未完で打ち切り。その続編『悪魔くん 世紀末大戦』(1997年)でも十二使徒が揃うことなく連載終了している状況から、TVアニメ化も実現した一見メジャーな作品でも商業ぺースでの継続が困難だった当時の情勢が伺えます。そして現在、このようにしてネット通販の利便性を享受している反面で十年来行き付けの古書店が閉店していく現状に、天才的頭脳を持つ精神的異端児が主人公の物語を読み返しながら漠然とした恐怖感を感じています。数年前から私用の携帯電話を持たなくなった理由もそんな現代社会へのささやかな反抗だったりします。戦後70年の終戦記念日を迎えた本日から半世紀以上前に人類の理想郷といわれる「千年王国」の復興を目指して、「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」と魔方陣の前で悪魔を召喚する呪文を唱えた悪魔くんですが、人間の生活においてある程度の不便さや煩わしさは必要なのかもしれません。

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都内近郊にひっそりと佇む、隠れ家的な喫茶店「茶房たんたん」にて。
こちらの店舗も珈琲とこけし好きに惜しまれつつ先月で閉店となりました。前日に注文していた昭和一桁時代に製作された木村吉太郎のこけし(昭和6年頃作、しばたはじめ氏旧蔵品)を座右に、最後の一杯となったカフェオレを味わいました。14年間お疲れさまでした。茶房たんたんでは、こけし関連の貴重な稀覯本や初版本も揃っており、写真の後に見えるのは、鹿間時夫著『こけし襍記』(昭和18年初版)、東京こけし友の会『こけしの郷愁』(昭和28年初版)、上記の2冊は残念ながら売約済みでしたので...
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こけし関連の貴重な初版本、橘文策著『木形子談叢』(昭和10年初版)、同著『こけしと作者』(昭和14年初版)、鹿間時夫著『こけし・人・風土』(昭和29年初版)、以上の3冊を購入。それぞれ復刻版を所有してますが、執筆当時の空気が感じられる初版本もコレクション用に一冊は持っておきたいところです。そして最後に購入した一本は、昭和12年に製作された伊藤松三郎のこけし(久松保夫氏旧蔵品、同氏コレクション図譜『こけしの世界』掲載品)でした。久松保夫氏は、海外ドラマ『宇宙大作戦』(1966年)ミスター・スポック役の吹き替えなどの声優・俳優業で活躍された傍らで熱心なこけし研究家・蒐集家でもありました。
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最後に、茶房たんたんマスター姫野さんから記念品とのことで店内に展示されていた、こけし切り絵作品の看板を頂きました。版画家の本橋氏による、(左)米浪庄弌氏旧蔵・阿部治助こけし、(右)鹿間時夫氏旧蔵・同こけしの切り絵作品です。これら私物のこけし関連コレクションは、後日放送のマツコ・デラックスさんと関ジャニ∞村上さんの番組で紹介される予定です。放送の都合でカットされるかもしれませんが、よかったらチェックください。


jetlink_roki at 22:20│カテゴリ_01:書籍/books | カテゴリ_02:玩具/kokeshi&toys