2014年08月20日

肘折温泉(3)鈴木征一さん工房〜チョンマゲこけし製作編

>「肘折温泉(1)四ヶ村棚田〜佐藤三治のブラジルこけし望郷編」、
>「肘折温泉(2)肘折温泉街〜下駄の音響く朝市編」の続き。
山形県肘折温泉の朝市を満喫した後は、再び鈴木征一さんのこけし工房にお伺いしました。こちらの作業場も朝が早く、朝市が始まる前の早朝5時にはこけしの木地挽きを始められてます。旅行前に木取りをお願いしていた木地でこけしを製作していただくことに。
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最初の工程は、こけし頭部の製作。今回は特注でこけしの頭に音の鳴る ”ガラ” を入れてもらうことにしました。木地を轆轤(ロクロ)の専用台座に嵌めこみ、頭頂部にガラを入れる穴を開けます。
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頭の中に入れるガラガラの正体がこちら...なんと小豆です。終戦前後は、その辺に落ちていた ”銃弾の薬莢” を入れたものもあったとか。どんな音だったのでしょう。
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頭部の空洞に小豆ガラの投入完了。その後、切り口に接着剤をつけて、穴と同じ直径の木片で頭頂部を塞ぎます。仕上げ後の木地は、継ぎ目が見えないくらいの綺麗な仕上がりとなります。
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胴体に嵌め込む凸型の部分を削り出して、頭部の完成。
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続いて、こけしの胴体製作。”ばんかき” と呼ばれる鉋(かんな)を一本だけで、絶妙なエンタシスの曲線を描いた美しい木地が見る見るうちに形成されていき、均衡の取れた鉋溝(かんなみぞ)も入ります。
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無より有いずる。こけしがまだ子供の玩具であった昔の話。里で生活する農民は、山に住む木地師を忌み畏れて自分たちの日常から分け隔てる一方で、神の器を作り出す木地師たちに対して信仰のそれに近い畏敬の念を抱きました。湯治土産だったこけしは子供の玩具であると同時に、里の者(農民)と山の者(木地師)を繋ぐ媒介としての役割も担っていました。

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工房の2階。普段ほとんど人を入れないこけしの描彩部屋です。
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昔は気持ちが静まる夜間に描彩をされていたそうですが、最近は夜の作業がきつくなり昼間に描かれてるとのこと...とお話をしながらも、長年の経験で培われた正確な筆致と筆速でこけしが描かれていきます。

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最後は、こけしの表面にロウを挽く仕上げ作業。ロウ掛けの有無に関しては各人の好みですが、今後の保存や取り扱いを考えると薄めにでもロウが挽いてあったほうが良いと思います。
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ふわっと一瞬煙を上げて、こけしの頭と胴体が繋がる瞬間。こけしが誕生する場面は何度見てもワクワクと心躍ります。
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そして、鈴木征一作・喜代治型ちょんまげこけし6寸が完成(笑)鈴木さんの師匠の師匠である奥山喜代治氏がかつて製作した木地玩具「福車」の意匠を参考に、チョンマゲ頭の福助顔を描いていただきました。木地形態および胴模様は、古肘折の柿崎藤五郎型。こけしの頭を振るとザッザッと小豆ガラの音が心地良く響きます。作者の鈴木征一さんいわく 「なんだか弥次郎っぽい顔になったなー」 とのことですが、なかなかカワイイ出来だと思います。旅の良き思い出のひとつとなりました。

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またいつの日か、
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アイルビーバックしたいところですが、
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遥かなれども夢にまでみた肘折の地は、なかなか遠かったです(完)

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ジェットリンクの民芸」より、初秋の新作玩具をお届けします。福島県土湯温泉における木地屋の源流である湊屋系・佐久間由吉型こけしの伝統を受け継いだこけし工人野地三起子さんに、父野地忠男型 「シルクハットこけし」 と 「みそだまこけし」 二本組を製作いただきました。こけしの描彩及び木地形態ともに蒐集家の方向けに丁寧に仕上げていただいたジェットリンクの別注品をお楽しみください。今月末の8月31日(日)20:00より頒布開始させていただきます。お見逃しなく。 野地三起子/野地忠男型シルクハット&みそだまこけし二本組


jetlink_roki at 21:25│カテゴリ_01:玩具/kokeshi&toys | カテゴリ_02:食&旅