2014年03月30日

岩手県一ノ関の宮本永吉こけし昭和10年作/愛玩鼓楽850番

「最近うちの店の一番のカモが渡辺くんだよ」と、行きつけの珈琲屋(兼こけし屋)のご主人から励ましの言葉をいただいて増税前の一本を購入。今回の抽選販売では、約35人中の7番と比較的早いクジが引けました。
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岩手県一ノ関の宮本永吉こけし。八寸ニ分。昭和10年頃の作。
鼓の製作において人間国宝であった鈴木鼓堂(すずきこどう)氏の旧蔵品。愛玩鼓楽850番。
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「鳴子系ではあるが、味に於いて方を脱した自己を創りだしている。余尺は余尺の味ありてあたかもむく犬のごとく・・・」 古いこけし蒐集家で童画家の武井武雄氏の自著『日本郷土玩具』(昭和五年刊)より。
鳴子で修行した後に、何かしらの理由から産地を離れた土地で製作された作者のこけしは ”遠鳴子こけし” と呼ばれます。現在のように通信網が整備されて無い時代でしたから、こけしの胴体を黄色く塗る技法や、目を大きく描いた表情など、流行や売れ筋などの情報伝達が隔絶に近い状況となった結果、本拠地から離れた土地で作られたこけしは古鳴子こけしを髣髴させる素朴で古雅な作風となりました。主な遠鳴子こけしの作者は、岩手県一ノ関の宮本一家(宮本惣七、宮本永吉)や、秋田県本庄の河村清太郎、秋田県大湯温泉の小松五平など。写真左は、同じ宮本永吉のこけし昭和14年作。第一次コケシブームの影響は一ノ関にも及んだのか、昭和10年からの約4年間で目を中心とした顔のパーツが大きくなり表情の変化が見られます。
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それから時は巡って第二次コケシブーム〜在りし日の昭和四十年代の話。関西のこけし店にて、とある蒐集家の方が鈴木鼓堂氏の旧蔵品四本組(宮本永吉、本田亀寿、盛秀太郎、長谷川辰雄)を当時の価格百万円で購入。そして、平成時代となった現在。今回の即売会ではその内の一本が委託品として販売されました。名品は、時代を超え、所有者を変え、然るべき場所へとおさまります。いつの日か私の元からも未来の誰かに渡ることでしょう。
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ものも 生命も 巡り巡る そして、いつの日か故郷へ還る時をじっと待つ


jetlink_roki at 16:54│カテゴリ_01:玩具/kokeshi&toys