2013年11月28日

福島県喜多方の小椋甚九郎こけし昭和13年作/愛玩鼓楽1063番

福島県喜多方市の木地師、小椋甚九郎のこけし。一尺(約30cm)。昭和十三年作。
鼓の製作において人間国宝であった鈴木鼓堂(すずきこどう)氏旧蔵品。
鈴木鼓堂氏のコレクション『愛玩鼓楽』1063番として同図譜に掲載されてます。
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明治32年6月6日生まれ。喜多方の木地業小椋千代五郎(1866〜1945)の二男。主に若松や喜多方の漆器木地下を挽いた。昭和12年に川口貫一郎氏により紹介され 『こけしと作者』 で父千代五郎と共に正式に世に取りあげられる。「雑系」と呼ばれる不遇な系統故か千代五郎と甚九郎親子に関しての資料は乏しく、経歴及び作品は、『こけし辞典』 、『こけし手帖』(19号)、川口貫一郎 『会津のこけし』、『こけし加賀美』、つどい刊行 『溝口三郎コレクション写真集』、『木の花』 雑系こけしの魅力 宮藤就二、などで確認できます。こけしの製作年代は、戦前の昭和12〜16年頃までの僅か5年間。戦後木工場の職長に就任してからは、「こけしを作っていては工員に示しが付かない」との理由でこけしの製作を休止しており、定年後に再びこけし工人としての復活を望んでいたが、それを遂げることなく他界。現在こちらで所有している小椋甚九郎こけしの製作年代を調べたところ、全てが昭和12〜14年にかけて製作されたものでした。戦後に作られた甚九郎のこけしが一本も存在しないとしたら、その理由は如何に?当の甚九郎こけしは不敵な笑みを浮かべるだけで黙して語らず。
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瞳の描彩は、中心の濃い部分と周囲の薄い部分の二重構造で描かれます。ニヤリとした唇の中には、こけしには似つかわしくない前歯がにゅっと覗きます。
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頭部の描彩は、中華風の唐子頭、後頭部に丸いツン毛、写実的な耳が描かれます。頭部の形体は、岩手県の南部系こけしに主に用いられる「キナキナ方式」となっており良く回転します。
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父小椋千代五郎こけしの独自の形体を継承し更に洗練、動力ロクロによって挽かれた甚九郎のこけしは、裾が窄まったマント型の胴体や、段の付いた肩、椅子の脚を髣髴させるエッジの効いた美しいフォルムが特徴。胴体の描彩には、細かく枝分かれした写実的な花模様が緻密に描かれます。8寸以上の大寸物の胴模様には、達筆に写された漢詩や、山河の風景画などが描かれているものもあります。昭和初頭の時代において、博学で絵画にも造詣が深かった甚九郎の自信の現れがこけしの描彩からも伺えます。この後は、当時の蒐集家であった雲井氏の指示ないしは関与により、初期の意匠からかけ離れた派手なこけしへと変容していきます。
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こけし愛好家であり、鼓の製作において人間国宝、鈴木鼓堂氏の旧蔵品 『愛玩鼓楽』 1063番のラベルと、
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こけしの胴底に貼られたラベルを調べると...この奇妙なこけしの正体は、「木形子研究会」の頒布品だったことが判明。「木形子研究会」とは、深澤要氏や天江富弥氏などを始めとする最も古いこけし蒐集家の一人であった橘文策氏他7名で昭和11年〜14年までこけしの頒布と機関紙の発行を軸として活動した会のこと。緻密に描き込まれた描彩や、丁寧に作られた木地形体に一尺を超える大寸物、という点から推測すれば、この時代に於いても既にこけしは子供の玩具ではなく大人の鑑賞物として製作されたことが伺えます。
東北地方の温泉地を中心に湯治客に販売する目的で製作された郷土玩具のこけしは、大正末から昭和初頭に登場したセルロイドやプラスチックなど始めとする新興玩具の登場により子供の玩具としての役を終えましたが、こけしの中に ”美” や ”郷愁” を発見した一部の大人たちにより、鑑賞美の対象および蒐集物という別の用途のものに変化して生き残り現在に至ります。

先日、巣鴨駅前のコメダ珈琲にて。
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人目も憚らず、知人とお互いの小椋千代五郎&甚九郎こけしの一部を持ち寄って並べてみました。 壮観!...と思ってるのは本人たちだけですが。 また何本か増えたので時間があるときにUPします。
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名古屋名物の「小倉トースト」を注文。安くて美味しかったです。あんこの量が多くて半分くらい余りました。

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「ジェットリンクの民芸」 で今後リリース予定のこけしには、コゲスンボコ社特製のこけし用BOXをお付けします。大切なこけしの保存収納ケースとしてお使いください。そして、ジェットリンクの民芸より2013年を締めくくる12月の新作アイテムは...近日中にお知らせします。お楽しみにどうぞ。 http://www.jetl.com/index3.html


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