2013年03月23日

マーティーデニムジャケット追求の旅 表地編

マーティーデニムジャケットとは一体なんだったのか?」 HEADGOONIE オオヤギみき氏の約10年間に渡るライフワークとも称すべき膨大な研究内容を数回に分けて全文掲載させていただきます。 80年代における映画衣装の研究資料としても読み応えのある内容となってますので、ぜひチェックください。

マーティーデニムジャケット追求の旅 80's編
■マーティーデニムジャケット追求の旅 表地編
>マーティーデニムジャケット追求の旅 裏地編 (近日掲載)
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(前回の続き) そこでボクはまず、現代でも入手可能なGUESSのデニムJKTを何着か入手することにしました。 そして、今から約1年程前。 まずスタジオにやって来たのが(左)のデニムジャケット。 映像からの解析だけではなく、まずは80年代製GUESSの実物のデニムJKTの解析からはじめることにしました。 このJKTを拡大したのが(右)です。 古いものなのでかなり色落ちしていますが普通のブルーデニムの方は、いわゆる普通の織り方。 なんてことない普通のデニムですが、もう1種類の方、分かりますか? 普通のデニムの方が ”ナナメに織り” が走っているのに対し、ボディの方は、”ドット状” 丸いドットが集まったような組織になっているのが分かります。 この織り方、いわゆる ”オックス” と呼ばれる種類の織り方のデニムなんです。 その他、上記に掲載したような海外ファンサイトやオークションなどで今でも見つけられるGUESSのデニムJKTは、ほとんど全部、ボディ部分にはオックスの生地が使われてました。 (切り返し部分とテレコになっているのもあるけど、どっちにしてもオックスは固定でもう1種類違うデニムやレザー等の素材を組み合わせるという構成が基本)

画像だけではどうにも判断しがたいので、ボクが実際に入手した2枚のJKTを、東京都内にある某生地会社へ持ち込み「デニム生地を実際に織ってつくっているプロ」の方に見てもらい、解析をお願いしたところ、この”引き”で見ると薄い黒っぽく見えるデニム生地の正体は 「かなり濃くインディゴ染めされたオックス生地で、それを特殊な薬品を使ってかなり薄い段階まで色落ちさせたものである」 ということでした。 (同じく、岡山の某繊維会社と、恵比寿の某生地会社の合計3社に同依頼をしましたが、すべて答えは同じものでした) ”色落ち” に関してはちょっと置いといたとして、もう1度、マーティーデニムJKTをブルーレイレベルで再現するんだったら、何よりもまず、この 「オックス組織のデニム生地」 を見つけなければならない。 最初はボクも、まあ、別にちょっと探せば出て来るかな、程度に考えてたんですが...これが甘かった。 こんなダサくて古くさい生地、今の時代、市場にはまったく流通していなかったのです。 (80年代のケミカルウォッシュとかが流行った時代には珍しいものではなかったにしろ、その中でも際立って珍しい生地で、ひょっとしたら、GUESSがオリジナルで織っていたものではないか? という意見も) 同じ生地は、2012年の時点ではこの世に存在していなかったのです。 つまり、これとまったく同じ生地を入手する方法はただ一つ。 ゼロから ”糸の段階からオリジナルで織る” しかない。 ダメもとで某繊維会社に相談してみたんですが...オリジナル組織の、オリジナル染めのデニムをイチから織るのには、相当量のメーター数を作らなくてはならないらしく、ウチくらいの小規模インディーブランドにはとてもじゃないけど払える金額ではありませんでした...つまりこの線は完全にアウト。 いま、現段階でHEADGOONIEができること。 それは 「2012年の段階で市場にある、実物に極限まで近いオックス組織のデニム生地を見つけ、極限まで近い加工をかけること」 という結論に至りました。
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ココからボクの生地探しの旅がはじまりました。 オックス組織のデニム生地は、すぐにいくつかは見つかったんですが、オンスの低いものが多く (レディースのシャツなどに使われるのが支流) なかなかジャケットに使えそうなのは無く...その中でも比較的オンスが高く、ギリギリジャケットにも耐えうるであろうもので、まずは加工テスト。写真左は製品を作る前に、理想の色が出せるかどうかテストするための ”筒見本” と呼ばれるものの第1回の試作品です。 その結果(写真右)は...でも全然ダメでした。 オンスが低いのもあり、キレ〜イに均一な色落ちをしてしまい、仕上がりはまったくの別モノになってしまいました。 かなり端折ってお話を進めていきますが、この間にも何度も何度も、色んな生地で試しているんですが、やはりオンスの低いもの、レディースに使われるようなのではまったくダメでした。
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そして、去年の夏頃 (確か国会議事堂前の反原発デモの日だったと思う) 都内の某繊維会社で、オンスが高く、ジャケットにも対応可能で、織組織的にも極限まで近い、という生地をついに発見! それで再度、加工テストに挑みました。 結果...生地的には、オンスが高いので良い段階まで行ったんですが、やはり単純なバイオウォッシュ、ストーン加工では、どうしても色落ち具合が均一になってしまい、あのマーティーデニムJKT特有のムラのある、ケミカルのような色落ちにはなってくれない...
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そして最終的に選んだ方法が、”ハンドケミカル” という加工方法。 最終試作です。 ハンドケミカルとは、デニムを色落ちさせるための特殊な薬品をウエスに染込ませ、職人の手作業で擦っていくという、非常に手間のかかる方法。 でもつまり、人間の手でゴシゴシやるわけですから、機械でガーっと加工をかけるよりも断然ムラが残る。 特に縫い目のあたりには色が溜まり、”あのジャケット” のような、色ムラがある生地をつくることについに成功したのです。 画像の試作は、これでもまだキレイに落ち過ぎているため、本チャンはもう少し、あえてムラが残るようにして欲しい、と指示しました。 つまり、現代の2013年現在、日本国内で、HEADGOONIE というウチの規模で、といういくつかの条件のもと、極限まで可能なレベルでの ”ホンモノのマーティーデニムに近いデニム生地” を作ることができたんです。 いやー、これで何とか、前回よりも断然バージョンアップした最新版をつくれる!...と、すっかりボクも安心していました。 そして、いよいよファーストサンプルの縫製に入るんですが...”表側” は、納得行くレベルまで何とか辿り着けたんですが、ここに来て、さらに大きな問題が!!

TO BE CONTINUED...

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映画 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 で主人公マーティー・マクフライが着用していた、あのジージャンを、ほぼ完全に近い形で復刻しました。 今回はさらに精巧な ”BLUE-RAY 解析版” をお届けします。 マーティーのセリフ 「ドク、やっぱりメイド・イン・ジャパンは最高だね!」 にちなんで、全ての工程を国内生産で仕上げた一級品をお楽しみください。 http://www.jetl.com/hg08_mjk.html
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そして、こちらの救命胴衣もお忘れなく! マーティーデニムジャケットと映画のように重ね着をしてみてください。 http://www.jetl.com/hg09_mvest.html


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